町田そのこさんの【夜空に泳ぐチョコレートグラミー】という本を紹介します。
こんな風に思ってしまうのは自分だけなのかな?という思いに苦しめられたことがある方にぜひ読んでいただきたいです。
夜空に泳ぐチョコレートグラミーとは
町田そのこさんのデビュー作で、「どんな場所でも生きると決めた人々の強さをしなやかに描き出す」5編の連作短編集です。
今回は収録されている5編のうち、特に心に残っている2編を紹介します。
波間に浮かぶイエロー
あぁもう嫌だなって思ったことありませんか?
私は、全てどうでもよくなってしまうことがよくありました。
自分の気持ちはリアルに体感できても、周りの人の気持ちに関しては、靄がかかって不鮮明にしか想像できていませんでした。
そんな私にとってこの短編の始まりは衝撃的で、最初の段落からなかなか先に進めませんでした。
置いて行かれる側の気持ちに痛いほど触れて、「生きていなきゃいけない」と強く感情を揺さぶられたのです。
私は今でも、当時の気持ちが戻りそうになるたびにこの話を思い出します。
この話との出会いに救われているといっても過言ではありません。
溺れるスイミー
ふとどこかに行ってしまいたくなることってありませんか?
いつもの通学路を大幅に遠回りして学校に行ったり、電車に乗ったらそのまま目的地を過ぎてどこかに行きたくなったり…。実際に行動する勇気はなくて、理性でどうにか予定通りに生活していたけれど足も心も重い日もありました。
同じような衝動に駆られる人なんているのかなと思っていましたが、この短編にはそんな人物が3人も登場しました。小説の中ではあるけれど、「そうか私だけではないのか」となんだか認めてもらえた気がして、分かってくれる人がいるのだと不思議と気持ちが落ち着きました。
あなたを助ける本
主人公がある一つのものを支えに日常を生きるというストーリーが詰まった素敵な一冊です。
しんどいなぁと思うことがあっても、縋れるものが一つあればいい、生きなきゃと思わせてくれた本でした。
ここではもう生きていけないと思ったことがあるあなたも、【夜空に泳ぐチョコレートグラミー】を開いて、穏やかな希望と人間の強さに触れてみませんか。
きっと背中を押してくれる。この本があなたの助けになることを願っています。
自己紹介と、ブログを始めた動機や私が思う本の魅力について書いた記事です↓
こちらもぜひのぞいてみてくださると嬉しいです!

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