見波利幸さんの【平気で人をいじめる大人たち】という本を紹介します。
いじめられていて辛い思いをしている方、いじめがある職場で働いている方、そして人をいじめてしまったことがある方にぜひ読んでいただきたいです。
いじめをする人
いじめをしている人たちは「自分は正しいことをしている」と思い込んでいます。
また、「もしかしたらいじめかも?」という思いが頭をかすめることはあっても、「教育をしているだけ」などと自分を正当化することで、いじめ自体を正当化してしまう人もいます。
自分が正しい、正義だと思い込んでいるため、平気で人の気持ちを踏みにじることができるのです。
著者の経験から、いじめをする人は次の3タイプに分けられるそうです。
・自分の感情をコントロールできない「感情型」 ・自己愛が強い「自己愛型」 ・他者を自分にとって使える人間かそうではないかでしか判断しない「他者利用型」
この本では、各タイプについて複数の実例/対応方法が紹介されていますが、このブログでは一部のみ紹介していこうと思います。
読み進めていくうちに、あの人はこのタイプかもしれない…と頭に浮かぶ「あの人」がいた場合は、ぜひ実際に本を手に取ってみてください。
本を読むことで「あの人」への理解がより深まり、解決策が得られることを願っています。
感情型
感情型は、自分がその人を好きか嫌いかで物事を判断してしまうところがあります。
この例で取り上げられた女性の背景に隠れていた感情は、嫉妬です。
「目には目を歯には歯を」と報復するとさらにひどいいじめにつながる可能性もありますから、自己防衛をしていくしかありません。
自己防衛の方法として、まずは「世の中にはつまらないことで意地悪をする人がいる」ということを知っておくことです。自分はそうならないように反面教師としてしまいましょう。
そして、距離を保ちつつ、自分が下手に出るようにします。
下手に出ることで、相手の嫉妬の感情をある程度抑える効果があります。相手への配慮を重ねていくうちに、相手のネガティブな感情も少しずつ薄らいでいくことが期待できます。
自己愛型
自己愛型は、人を自分より上か下かで判断する傾向があります。
常に自分が優位に立ち、賞賛されることを望んでいます。
相手の気持ちを尊重しつつ、自分の意見を素直に伝えられるアサーティブなコミュニケーションスキルを身に付ければ、相手の攻撃を抑えることができます。
他人の気持ちを大切にすることを常に意識しておかないと、自分と違う考え方や価値観を持った人間を受け入れられなくなってしまうのが人間の性でもあります。
自分が加害者にならないという覚悟を一人一人が持つことが、抑止効果につながっていくはずです。
他者利用型
他者利用型は、他人を使えるか使えないかで判断し、他人は利用するものであるという信条で生きています。
自分の目的のためであれば、周りの人がどうなろうが一切気にしません。
人格的に問題のある人に出会ってしまった場合は、対策はほとんどないため「この状態は今だけである」と割り切るしかありません。
しかし、挽回する手立てがある場合は、多少へりくだるように相手を敬う気持ちを見せれば相手の気持ちは収まる可能性があります。
人は基本的に、自分を尊敬している人を否定することは難しいものです。
解決策としての傾聴力
「傾聴」はいじめがすぐに収まるスキルではありませんが、長い目で見ると人生を支えてくれるスキルとなります。
傾聴の本質は、「自分はあなたの話をこんなふうに聴きました、あなたはこんな気持ちになっているのですね」と伝えることです。
相手が悩んでいる時は相手の立場になって聴く、相手と同じところを見ることが非常に重要です。
人が変わるために必要なことはたった一つ。
誰かがその人の気持ちをきちんと感じ取り、相手に伝えることです。
これだけで人は生きていくことができるのです。
いじめを見て見ぬふりをしていた傍観者が傾聴スキルを身に付ければ、いじめる側の圧力に同調したり屈したりすることがなくなり、いじめへのアラートが早くなります。
いじめを受けている人が傾聴スキルを身に付ければ、いじめの辛さが確実に軽減していきます。
誰かの生きていく力になりたい
前職で、いじめとまではいかないかもしれませんが、忙しさも相まって精神的にダメージを受けている他部署の同僚がいました。私は直接解決できる立場ではなかったけれど、どうにかして助けたかった。
自分にできることはないのかと悩んでいた時にこの本と出会いました。
ただ声をかけることしかできなかったけれど、すごくうれしかったと笑顔を見せてくれました。気にかけてくれている人がいるだけで救われる、と。
私にとって、傾聴スキルを本気で身に付けようと決意した一冊と出来事となりました。
救いたい誰かがいる方、自分はカウンセラーではないからと諦めずに【平気で人をいじめる大人たち】から学んでみませんか。
誰かの生きていく力になれますように。
自己紹介と、ブログを始めた動機や私が思う本の魅力について書いた記事です↓
こちらもぜひのぞいてみてくださると嬉しいです!

コメント